10年以上放置されている「耕作放棄地」は、どこの地域にもあります。
僕の住む福岡県朝倉市でも、長く作っていない田んぼが多く、来年から米づくりを始めようとしている僕にとっては「避けて通れないテーマ」でした。
そして先日、再来年から作る予定の2反の田んぼに初めて入り、石拾いや畦の確認などの作業を自分でやってみました。
実際に触ってみると、想像していた以上に“放置されていた田んぼの現実”が見えてきました。
今回は、この体験を踏まえながら、放置田を復活させるリアルを初心者目線でまとめます。
◆ まず“田んぼとして使えるか”の診断から始まる
放置田は見た目以上に状態がバラバラです。復活できる田んぼかどうかは、まず以下のポイントを確認します。
| チェック項目 | 見るポイント | ダメだった場合 |
|---|---|---|
| 水が溜まるか | 畦・水路の破損、漏水の有無 | 復活は難航 |
| 水路が生きているか | 用水が供給されるか | そもそも田んぼとして使えない可能性 |
| 土の状態 | 草の根・木の根の深さ | 整地費が高額になる |
| 周囲の田 | 他の農家が作っているか | 水管理が難しい |
| 権利関係 | 所有者・改良区との手続き | 時間がかかる |
農家さんの間では「水が溜まれば8割OK」と言われるほど、水の確保は最重要です。
◆ 最初の大仕事は“草との戦い”
10年以上放置されている田んぼは、草が胸の高さまで伸びていたり、竹が根を張っていたりします。
復活までの最初の1〜2ヶ月の流れはこんなイメージです。
- 草刈り(何度も必要)
- 竹・木の伐採
- 畦の位置と土手の状態を確認
- トラクターで耕してみる
草を3回刈っても根が強く残ることも多く、想像以上の体力仕事です。


畔の周りを草刈機で切った後、終わりが見えなかったのでトラクターで草も一緒にすきました(笑)
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◆ 畦の補修と“水入れテスト”が最大の山場
草を片付けたら、次は畦の補修と水入れテストです。
- 畦が崩れている
- 水路が詰まっている
- 低い場所から漏れる
こうした部分をひとつずつ補修しながら、水が溜まる田んぼに戻していきます。
水が溜まって初めて、
代かき → 田植え
の流れができるようになります。
◆ 復活にかかる費用(1反あたりの目安)
一般的には次のような費用がかかります。
| 作業内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 草刈り(2〜3回) | 3万円 |
| 伐採・整地 | 10万円 |
| 畦補修・漏水対策 | 5万円 |
| 耕起 | 1万円 |
| 水路整備 | 無料〜数十万円 |
合計すると 20万円程度。
特に水路整備が個人負担になると、一気に高額になります。
◆ 最初の年は“うまくいかなくて当たり前”
放置期間が長い田んぼには、
- 草の種が大量に残っている
- 土が固い
- 均平が悪い
- 肥料を吸いにくい
といった特徴があります。
ベテラン農家さんはよく、
「放置田は3年かけて育てるもんよ」
と言います。
最初から綺麗に仕上げようとすると心が折れます。
ゆっくり田んぼを育てる気持ちで取り組むのが大切です。
◆ 僕が実際に入って感じた“リアルな放置田の姿”
ここからは、僕が再来年に作る予定の 2反の田んぼに入り、実際に整備をして感じたことを書きます。
1.石拾いで気づいた「土の荒れ具合」
最初の作業は石拾いでした。
これが本当に大変でした。
- 表面にもゴロゴロ
- 少し掘ると更に大きな石が埋まっている
- 畦際にも岩のような石が転がっている



これを放置したままトラクターを入れると、爪を折ったり、機械を痛めたりします。
地味な作業ですが、後々の作業効率が大きく変わる“超重要工程”です。
2.畦が壊れていて「水が溜まる未来が見えない」
畦は草の根が支配していて、触ると崩れる部分も多く、ところどころ途切れていました。
農家さんに見てもらうと、
「このままじゃ水は絶対に溜まらんよ」
と即答されました。
畦の補修は、放置田復活の中でも最も時間がかかる作業です。
3.表土のレベルがバラバラで、均平取りが大変
歩くだけでも分かるくらい凸凹で、
高いところは乾き、低いところは水が溜まる典型的な放置田の状態でした。
来年は
耕す → 水を張る → 均すを何度か繰り返す必要がある
と覚悟しています。
◆ 本気で復活させるなら“自分で整備する”が最も現実的
僕の2反の田んぼを見て、業者に整備を依頼した場合の見積もりは、
- 草刈り
- 伐採
- 畦の再構築
- 均平作業
- 表土の調整
などをまとめてお願いすると 30万円以上 という金額でした。
正直、初心者がいきなり払うには重すぎます。
そこで僕は、
機械をリースして自分で整備する
という道を選びました。
具体的には、
- トラクター
- ミニユンボ
- ダンプトラック
などを必要なときだけ借りれば、
リース代+燃料代だけで5万円以内 に収まりそうです。
もちろん、自分でやる分、時間はかかりますが、
“田んぼに慣れる”という意味でも大きなメリットがあります。
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◆ まとめ|放置田は大変。でも手を入れた分だけ確実に良くなる
10年以上作っていない田んぼでも、
水が溜まり、畦と水路が整えば復活は可能 です。
最初は草との戦いで、畦の補修も大変で、均平は思い通りにいきません。
でも、手を入れれば田んぼは必ず答えてくれます。
そして何より、
自分の手で整備した田んぼは愛着がわく。
これは実際に現場に入らないと分からない感覚でした。
後編は実際にユンボで畔を作ったり オートレベルで高さを確認しながら田んぼを敷均す姿を わかりやすくお伝えするのでお楽しみに!


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