「米農家として生活するには、何反くらい必要?」
これは僕自身が農業を始める前に、何度も検索したテーマでした。
特に目安としてよく言われるのが “10反(1町)”。
では実際、
10反のお米づくりだけで生活できるのか?
朝倉市で米農家を始めようとしている僕の視点で、リアルにまとめます。
◆結論:10反だけでは“ギリギリ or 赤字”。直販などの工夫が必須
先に結論を書くと、
10反の稲作のみでは、1人の生活費としてはギリギリ。
家族を養うとなると、ほぼ不可能。
ただし、
- 直販
- ブランド化
- 加工
- 兼業
- 他作物との組み合わせ
などを使えば 年収を大きく伸ばす余地は十分にあります。
◆10反(1町)の売上・経費・利益を計算
前回のブログでまとめた「1反あたりの収益モデル」を元に、10反分を再計算します。
▼ 1反あたりの収益モデル(復習)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 収量 | 17俵(510kg) |
| 価格 | 15,000円/俵(30kg) |
| 売上 | 255,000円 |
| 経費 | 75,000〜85,000円 |
| 利益 | 170,000〜180,000円 |
ではこれを10反へ。
▼ 10反(1町)の収益モデル
| 項目 | 1反あたり | 10反(1町) |
|---|---|---|
| 売上 | 255,000円 | 2,550,000円 |
| 経費 | 75,000〜85,000円 | 750,000〜850,000円 |
| 利益(概算) | 170,000〜180,000円 | 1,700,000〜1,800,000円 |
単純に10倍です。
◆利益は「年170〜180万円」。これは生活できる金額?
結論:
一人暮らしでもギリギリ。
家族がいる場合は生活不可能レベル。
年180万円というのは、月に換算すると 15万円以下。
ここからさらに、
- 国民健康保険
- 年金
- 住民税
- ガソリン代
- 車の維持費
- 家賃(持ち家でない場合)
これらを払うと、ほぼ残りません。
◆しかも入金は秋に集中 → キャッシュフローが厳しい
米農家の厳しさはここ。
- 収入の大半が10〜12月にドンッと入る
- 残りの10ヶ月は収入ゼロ
つまり、
お金の流れ(キャッシュフロー)を作らないと生活が破綻します。
農業経験者がよく言う
「10反では食っていけん」
という言葉の理由がこれです。
◆では10反で生活するにはどうすればいい?
ポイントは4つ。
① 直販(ネット販売・SNS)で利益を2倍にする
JA出荷だと利益は1反あたり17〜18万円。
しかし直販なら…
- 5kg:2,800〜3,500円
- 10kg:5,000〜6,000円
が普通。
直販比率を増やすことで、
利益が1.5~2倍になることも十分可能。
仮に直販比率50%にすると…
→ 年300万円前後の利益 が狙えるようになります。
「SNS・ネット販売」 と相性最高です。
② 野菜を少しだけ組み合わせる“プチ複合経営”
米 × 野菜の組み合わせで収入が安定します。
例:
- 玉ねぎ
- ほうれん草
- スナップエンドウ
- サツマイモ
こうした軽労力の作物を少し追加するだけで、
+30〜80万円/年 は現実的。
③ 兼業という選択(実は最強)
前回のブログでも触れた通り、
会社員 × 農業=最強の安定モデル。
メリット:
- 固定給で生活が安定する
- 農業収入は全て“プラス収益”になる
- 社会保険も会社の負担
- 農業は税制的にも有利
10反の米づくりを副業にすると、
年間170〜180万円が丸々プラス収入になる
という非常に強いモデルになります。
④ 農業用機械の買い方をミスしない
特に重要なのがここ。
- トラクター
- 田植え機
- コンバイン
これらを 新品で一気に揃える=人生終了(1,000万円超)。
「機械をリースし、自分で整備する」
は最強の節約術。
これだけで年間の固定費が大きく変わります。
◆10反農家のリアルな年間スケジュール
初心者にもわかりやすく簡単にまとめます。
| 月 | 主な作業 |
|---|---|
| 1〜2月 | 機械整備・圃場計画 |
| 3月 | 種まき準備・肥料散布 |
| 4月 | 田起こし・代かき |
| 5月 | 田植え |
| 6〜7月 | 草刈り・水管理 |
| 8月 | 水管理・除草 |
| 9月 | 稲刈り |
| 10月 | 乾燥・調製 |
| 11〜12月 | 出荷・片付け・直販準備 |
実は 10反でも作業量はかなり重い のが現実です。
◆【結論】10反だけでは厳しいが、工夫すれば“十分生活できる範囲”
まとめると:
❌ 10反の米だけでは生活は厳しい
→ 利益170〜180万円/年
⭕ 工夫すれば一気に安定できる
- 直販で利益2倍
- 兼業で安定モデル
- プチ複合経営
- 機械費を抑える
→ 300〜500万円の収入は十分に可能
SNS と直販で今後やっていくのであれば、
10反の規模は「小さくても勝てる米農家」への重要なスタートライン になります。




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