こんにちは。
今年は、来年からの米作りに向けた“準備期間”。
農業の知識も経験もまったくゼロの状態から、少しずつ田んぼや機械の扱いを学んでいます。
最初は「自然に囲まれてのんびり働く」という、どこか憧れのような理想を描いていました。
朝日を浴びながら田んぼに出て、夕方には風を感じながら一日を振り返る——そんなスローライフを夢見ていたのです。
でも、実際に動き出してみると、理想と現実のギャップを痛感する出来事ばかり。
それでも、そこには“人とのつながり”や“新しい学び”もありました。
◆ トラクターとの出会いと、おじさんの一言
ある日、地域の農家のおじさんが、僕にこんな話をしてくれました。
「トラクター、倉庫に置かせてもらう代わりに、好きなときに使っていいよ。」
まさかそんな申し出をもらえるとは思っていなかったので、びっくり。
でも、その言葉が本当にうれしかった。
農業を始めたいと思っても、最初のハードルはやはり“機械”。
それを気軽に貸してもらえるなんて、ありがたい限りです。
ただ、問題は——僕がトラクターをまともに動かしたことがないこと。
それでもおじさんは笑いながら、
「最初はみんなそんなもんだよ。やってみりゃわかるさ」と言ってくれました。
その言葉に背中を押されて、見よう見まねで挑戦。
結果は……草ボーボーの中でロータリーの羽に草が巻き付く大惨事。


エンジン音がどんどん重くなり、焦って止めて確認すると、ロータリーが草でぎっしり。
泥まみれになって手で草を取ること数十分。
「こんなこと、YouTubeでは誰も言ってなかったぞ!」と心の中でツッコミながら、汗だくで奮闘しました。
それでも、嫌な気持ちは不思議とありませんでした。
「失敗していいんだ」と言ってくれたおじさんの言葉を思い出しながら、
泥にまみれたその瞬間を、どこか誇らしく感じていました。
◆ 「自然と共に生きる」は、想像以上に難しい
農業を始める前は、「自然と共に生きる」という言葉に穏やかなイメージを持っていました。
でも、少し田んぼに関わっただけでも、自然は想像以上に手ごわい存在だとわかります。
気温、雨、風、雑草、虫——どれも人間の都合では動いてくれません。
「自然に寄り添う」というのは、実際には「自然と折り合いをつけていく」ことの連続。
草刈りをしても数日後にはもう新しい草が伸びるし、
雨が降れば予定していた作業がすべて狂う。
それでも、そんな自然の中で作業していると、少しずつ気づくことがあります。
自然は敵でも味方でもなく、ただ“そこにある存在”なんだということ。
失敗しても、うまくいかなくても、「またやってみよう」と思える。
きっとその繰り返しが、少しずつ農家としての感覚を育てていくのだと思います。
◆ 理想だけでは続かない「農業のリアル」
農業を始める準備を進めていく中で、もうひとつ感じたのは、
「農業は感覚ではなく、経営の仕事」だということ。
肥料代、燃料費、機械の維持費、資材代……。
数字を計算していくと、理想だけではやっていけない現実が見えてきます。
さらに、収穫した後の販売ルートやブランディングも考えなければなりません。
自然の中でのびのびと働くというイメージから、
「戦略を立てて、現実と向き合う仕事」へと認識が変わっていきました。
けれど、こうして現実を知っていくことで、
最初に描いていた“夢”がより具体的な“目標”に変わっていくのを感じます。
理想を持ちながらも、地に足をつけて一歩ずつ進む。
それが、これからの僕のテーマです。
◆ 少しずつ「自分の田んぼ」へ
今の僕は、まだ本格的な米作りをしているわけではありません。
田んぼを整備し、草を刈り、機械を動かす練習をしているだけ。
でも、そんな日々の中でも、小さな発見や学びがあります。
トラクターの音や、土の匂い、風の流れ。
ひとつひとつが、これまで知らなかった“田んぼのリズム”を教えてくれます。
「うまくいかなくて当然」と笑ってくれたおじさんの言葉を思い出すたび、
焦らずに、じっくり準備していこうと思えるのです。
◆ 終わりに
理想と現実のギャップを感じながらも、
やっぱり“米作り”という目標に向かって進んでいく今が、とても楽しい。
草まみれになってトラクターを止めたあの日も、
振り返れば大切な一歩でした。
農業は思っていたよりずっと大変で、
思っていた以上に、温かい世界でもあります。
来年、自分の田んぼで田植えができるように。
今はその日のために、泥にまみれながら準備を続けています。
🌾 次回予告
次回は、「地域の方々との出会いと学び」について。
ゼロから始める僕に、地元の人たちが教えてくれた“農の知恵”を紹介します。
どうぞお楽しみに。
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