農家の粗利・手取りはどう決まる?初心者でもわかる数字の話

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◆はじめに

農業を始めると、必ず気になるのが**「結局、手取りはいくら残るの?」**という話。

特に米農家は、売上と経費がはっきりしている分、数字の理解がそのまま経営判断につながります。

僕自身も、はじめて1反あたりの収支を計算したとき、
「思ったより残る!」
「でも経費を増やすとすぐ利益が消える…」
という“数字の怖さと面白さ”を強く感じました。

この記事では、農家の収入の仕組みを、初心者でも分かるようにシンプルに解説します。


◆粗利・手取りの前に知っておくべき「お金の流れ」

農業のお金の流れは、基本的にこの順番です。

売上 → 変動費 → 粗利益 → 固定費 → 手取り

つまり、
最終的にあなたの財布に残るお金(手取り)は、
売上からすべての費用を引いたもの
です。

では、ひとつずつ解説します。


◆売上:まずはここから始まる

米農家の場合、売上は

  • JA出荷
  • 個人販売(直販)
  • 飲食店や知り合いへの販売
  • SNS販売

などで変わります。

わたしの地域(福岡県朝倉市)の例だと、
17俵 × 1俵15,000円 = 255,000円/反
が一つの目安。

もちろん天候や作り方で多少変わりますが、基準としては十分です。


◆変動費:作れば作るほど増える費用

変動費とは、

  • 肥料
  • 農薬
  • 乾燥・調製費
  • 燃料代

など、作付け量に応じて変動する費用のこと。

わたしの場合、
約20,000円〜25,000円(苗・肥料・農薬)+ 乾燥調製約25,000円
合計およそ 45,000円〜50,000円/反 が目安。


◆粗利益:売上から変動費を引いたもの

粗利益は、
売上 − 変動費

計算すると…

▼ 粗利益

項目金額
売上255,000円
変動費約45,000〜50,000円
粗利益約205,000〜210,000円

この時点では「おっ、けっこう残る!」と思えます。

しかし、ここからが本番です。


◆固定費:農家の利益を大きく左右する“見えない敵”

固定費とは、作付け面積が増えても減っても、ある程度かかる費用。

代表的なのは、

  • 機械代(トラクター・コンバインの購入 or リース)
  • 車両の維持費(軽トラ・軽バン)
  • 農具・小物類の購入
  • 保険
  • 倉庫・保管場所
  • 農地の賃借料

前回のブログで書いてきたように、初心者ほど見落としがちなのが機械費と固定費の高さです。

わたしの場合、
「機械費 約30,000円/反」が目安です。


◆手取り:最終的に残るお金

では、粗利益から固定費を引いて計算してみます。

▼ 手取り

項目金額
粗利益約205,000〜210,000円
固定費(機械費など)約30,000円
手取り(利益)約175,000〜180,000円

つまり、
**1反あたり約17〜18万円が“手元に残るお金”**になります。

この数字は、前回のブログで書いた「1反の収支」と完全に一致しています。


◆初心者が“数字で失敗しやすい”ポイント

数字を整理すると簡単に見えるのに、
実際にやると初心者がつまずくポイントが3つあります。


① 機械費を軽く見てしまう

トラクター・コンバインは購入すると数百万円。
中古も値下がりしにくい。

面積が少ないほど1反あたりの負担は重くなります。


② 乾燥・調製費の重さを甘く見がち

乾燥は1反あたり約25,000円。
地域によって大きく違うため、必ず確認が必要。


③ 地域の慣例・やり方によって経費が変わる

苗の選択や農薬散布の頻度、作業委託の有無など、
地域差がすごく大きい。


◆黒字化を確実にするための3つのポイント

初心者がまず意識すべきは次の3つです。


① 固定費を抑える(特に機械費)

リースを使う、借りる、シェアするなどで最初の投資を抑える。


② 品質より“収量”を安定させる

米は収量が売上に直結する作物。
初心者のうちは、技術より「安定」が利益を作ります。


③ 売り方を工夫する(直販で粗利アップ)

JA出荷と直販では、1俵あたり数千円以上の差が出ることも。

SNS販売だと完全に価格を自分で設定できます。


◆まとめ:数字を理解すると農業はもっと楽しくなる

農業は「体力の仕事」という印象が強いですが、
実はそれ以上に “数字の仕事” です。

数字を知ると、

  • 何にお金を使うべきか
  • どこで節約すべきか
  • どれくらいの面積なら生活できるか

が見えるようになり、経営が安定します。


「準備の一年」から数字を把握している人は必ず強くなる。

来年からの米づくりに、きっと活きてくるはずです。

にじいろ商店

こんにちは。
高校卒業後、10年の土木経験を経て28歳で独立。
大好きだった祖母が残した田んぼを継ぎたいと思い31歳から兼業で米農家の道へ。
農業知識0から米農家へ、どんなものがたりが待ち望んでいるのか。
毎日楽しみながら投稿してます。

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