米農家を目指して準備を進めていると、よく聞かれる質問があります。
「専業でやるの? それとも仕事を続けながら?」
僕自身も最初は「いずれは専業に」と考えていました。
でも現実を見ていくうちに、“兼業という選択”がとても現実的で、しかも魅力的だと感じるようになりました。
今回は、これから米づくりを始めたい人に向けて、仕事と農業を両立するリアルをお話しします。
◆ 兼業農家が多いのはなぜ?
農家と聞くと、「専業で農業一本」というイメージを持つ人が多いと思います。
しかし実際には、全国の農家の約7割が兼業農家です。
特に米農家では、
- 平日は会社勤めをしながら、
- 休日や早朝・夕方に田んぼの管理をする
というスタイルが主流になっています。
その理由はシンプル。
お米だけでは生活費をまかなうのが難しいから。
前回の記事で触れたように、1反あたりの利益は約17万円。
専業で月30万円(年間360万円)の生活費を確保するには、約2ヘクタールの規模が必要です。
でも最初からその面積を確保するのは現実的ではありません。
だからこそ、仕事を続けながら少しずつ農業を育てていくという兼業スタイルが増えているのです。
◆ 兼業の最大のメリットは「安定」
兼業農家のいちばんの強みは、収入の安定です。
会社員の給料があることで、農業の初期投資(機械代・倉庫代など)を無理なくまかなえます。
また、収穫量や天候に左右される年があっても、生活基盤が崩れにくいのも安心です。
僕自身も来年から、まずは本業+2反の米づくりで始めます。
焦らず、経費の流れや作業の感覚をつかみながら、少しずつ経験を積むつもりです。
初めから「食べていける規模」を目指すよりも、
学びながら育てる時間を持つことが、長く続けるコツだと思います。
◆ 最大の課題は「時間のやりくり」
一方で、兼業には大きな課題もあります。
それは、時間の確保です。
米づくりは季節によって作業が集中します。
とくに以下の時期は注意が必要です。
- 田植え(5〜6月)
- 草刈り(6〜9月)
- 稲刈り(9〜10月)
これらは天候に左右されるため、予定通りにいかないこともあります。
兼業農家の多くは、有給休暇を使って田植え・稲刈りを行うか、
家族・地域で助け合って作業を進めるなど、工夫して乗り切っています。
僕の地域でも、仕事を終えてからヘッドライトをつけて草刈りをしている人や、
週末だけ集中的に作業をする人がたくさんいます。
要は、“時間をつくる覚悟”があるかどうか。
その意識さえあれば、兼業でも十分やっていけると思います。
◆ 1日のスケジュール例(兼業農家編)
実際に話を聞いた兼業農家さんの一日の流れを参考にしてみましょう。
| 時間帯 | 内容 |
|---|---|
| 5:30〜7:00 | 出勤前に田んぼの見回り・水の調整 |
| 8:00〜17:00 | 本業(会社勤務) |
| 17:30〜19:00 | 帰宅後に草刈りや機械の整備 |
| 土日 | 田植え、代かき、稲刈りなどの集中作業 |
このように、早朝・夕方・週末を上手に使うのがポイントです。
特に田植え期や稲刈り期は、家族総出で手分けする光景がよく見られます。
◆ 小規模から始められるのが強み
兼業で米づくりを始めるなら、1〜2反程度からが理想的です。
これくらいの規模なら、
- 作業時間の確保がしやすい
- 機械も地域で借りられる
- 経費も年間数万円〜十数万円程度に抑えられる
など、リスクを小さく抑えながら挑戦できます。
僕もまずは2反からスタートします。
それでも、田んぼを見に行く時間を確保するには本業とのバランスが大切で、
「今日は仕事が早く終わったから、夕方に草を見てこよう」という日々になると思います。
◆ 仕事のスキルが農業に活かせる
兼業のもう一つの魅力は、本業での経験を農業に生かせることです。
たとえば──
- 会社で学んだスケジュール管理や計画性は、農作業の段取りに直結。
- 販売やコミュニケーション力は、直販やSNS発信で活かせる。
- ITやデザインの知識があれば、ブランディングやネット販売にも強くなります。
つまり、仕事を続けながら農業を学ぶことは、両方のスキルを掛け合わせるチャンスでもあるんです。
僕も、これまでの仕事で培った発信力や企画力を、
「農家としてどう活かせるか」を考えるのが今から楽しみです。
◆ 兼業だからこそ得られる“豊かさ”
お金のためだけでなく、
**「心のゆとり」や「自然とのつながり」**を求めて農業を始める人が増えています。
田んぼに立つ時間は、仕事のストレスを忘れさせてくれる特別な時間。
自分で育てたお米を家族で食べたときの喜びは、何物にも代えがたいものです。
忙しい中でも、自然のリズムを感じる暮らしは、
「兼業だからこそバランスよく実現できる生き方」だと思います。

◆ まとめ
- 農家の約7割は兼業農家。安定した始め方として現実的
- 仕事を続けながらなら、初期投資や生活費の不安を抑えられる
- 課題は時間管理。早朝・夕方・週末を上手に活用
- 1〜2反から始めるのが理想。小さく始めて徐々に拡大
- 仕事のスキルが農業にも活きる
- 収入だけでなく「心の豊かさ」を感じられる暮らし方
「専業か兼業か」──どちらが正しいということはありません。
大切なのは、自分のペースで続けられる形を見つけること。
僕もまずは兼業から始め、経験を重ねながら、
いつか自分の理想の農業スタイルを築いていきたいと思います。


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